用語集

スライド機構

ブロー成形、射出成形どちらの場合でも、プラスチック製品の成形時、アンダーカットなどが理由で製品の離型が困難な場合があります。
スライド機構は通常では離型ができない場合に用いられます。

アンダーカットで離型ができない形状部分を駒(入れ子)にして、金型の開閉方向とは別の方向にスライドさせることで離型が可能になります。
製品の形状やスライドさせる駒(入れ子)の位置により、金型の開閉方向に対して横スライド、傾斜スライドとスライド方向を選定します。
また、離型可能な位置まで可動(ストローク)させます。
離型を成立させるために、スライド方向とストローク量は重要になります。
金型設計者はスライド方向とストローク量を適切に判断して、スライド機構の設計をします。

スライド機構を導入することで、金型のコストは増加します。
シリンダーや取り付け部品など、スライドさせる駒(入れ子)の数量や大きさでコストが増します。
代わりに以下のようなメリットが得られます。

・複雑な形状の成形:
スライド機構を使用することで、より複雑な形状の製品を成形することが可能になります。

・2次部品の一体化成形:
インサートナットやインサート部品などの2次部品をあらかじめ金型にセットして一体化成形ができます。
これにより、後工程の溶着などの2次加工が不要になり、生産性の向上とコスト削減が実現します。

ただし、スライド機構は長期間使用すると摩耗が発生するため、金型のメンテナンスが非常に重要です。
摩耗が進むとスライド部分にかじりやすい問題が生じる可能性があります。定期的なメンテナンスや、メッキ処理、潤滑材の注入などが必要です。

スライド機構を適切に活用することで、プラスチック製品の成形プロセスの改善と生産性の向上を実現できますが、金型の適切なメンテナンスを行うことで長期的な効果を持続させることが大切です。

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