技術コラム

2024/12/17

ウォッシャータンクのブロー成形のポイントをご紹介!

自動車のフロントガラスやヘッドライトを洗浄するためのウォッシャー液を貯蔵するウォッシャータンクですが、ドライバーの視界確保に貢献する、安全運転に欠かせない部品です。 ウォッシャータンクは、中空構造を持つプラスチック製品であり、その製造にはブロー成形技術が広く採用されています。

ウォッシャータンクに使用される材料

ウォッシャータンクは自動車部品として使用されるため、耐久性や耐薬品性が重要です。一般的には、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)といった熱可塑性樹脂が選ばれます。これらの材料は、軽量で耐久性が高く、化学物質に強い特性を持っています。

 

ウォッシャータンクにブロー成形を採用することのメリット

ブロー成形は、熱可塑性樹脂を溶融させて金型に吹き込み、圧縮空気で膨らませることで中空製品を成形する技術です。 ウォッシャータンクのような複雑な形状の中空製品であれば、継ぎ目のない一体構造で効率的に製造できます。その他、以下のような利点があります。

軽量化: 中空構造により、材料の使用量を抑えながら必要な強度を確保できます。自動車の燃費向上に貢献する軽量化は、ウォッシャータンクにおいても重要な要素です。

設計自由度: 複雑な形状や大型製品にも対応可能です。 ウォッシャータンクは、限られたスペースに設置されるため、複雑な形状をしていることが多く、ブロー成形の高い設計自由度が活かされます。

低コスト: 金型構造が比較的シンプルで、製造工程も効率的であるため、低コストで生産できます。

 

ウォッシャータンクで重要な金型設計

タンクの強度と機能を考慮した設計が必要です。

例えば、タンク内の圧力や衝撃を分散するために、適切なリブ(補強筋)を設けます。また、パーティングライン(分割面)にリブを設ける形状もあります。理由は、製品肉厚が薄い部分の窪み・割れなどの成形不良を無くすためです。

取り付け部やホースの接続部の形状が正確であれば、漏れ防止や取り付け作業のしやすさが向上します。金型製作では、ホースの抱きかかえ部分や車両に取り付ける部分(キャッチャー)は、アンダー加工した構成部品(下図参照)を本体に組みます。本来であれば、金型から成形品の離形を妨げるアンダーですが、樹脂がもつ適正な柔軟性を利用して”無理抜きをして金型から製品を取り外します。

ブラケットの穴はピアス仕様で成形後にはロスをカットすることで簡単に穴を開けられます。

また、ウォッシャータンクの形状は自動車の狭い中に格納されることから、複雑な形状をしている製品が多いので、高低差(起伏)がある形状には、金型の冷却の差を均等にする配慮が日知用です。

ー成形金型は比較的に金型構造がシンプルなためです。

〔関連記事〕   
>>ウォッシャータンク 用金型部品(ホースクランプ)

>>ウォッシャータンク用金型部品 (ダブルホースクランプ

>>ブロー成形の「成形不良」種類一覧をご紹介!

 

ブロー成形工程における品質管理

高品質なウォッシャータンクを安定して生産するためには、ブロー成形工程における厳格な品質管理が不可欠です。

パリソン厚制御: 押出機から吐出される溶融樹脂(パリソン)の厚さを精密に制御することで、ウォッシャータンクの肉厚を均一に保ちます。

温度管理: 溶融樹脂の温度、金型温度、成形環境温度を厳密に管理することで、成形品の寸法精度や品質を安定させます。

圧力制御: 成形時の圧縮空気圧力を適切に制御することで、ウォッシャータンクの形状を正確に再現します

検査: 完成したウォッシャータンクは、外観検査、寸法検査、気密検査など、様々な検査を経て出荷されます。

 

当社が実現した3次元ブロー成形製品のご紹介

続いて、実際に当社製の金型で成形された3次元ブロー成形製品をご紹介いたします。

自動車用パイプ

 

ブロー成形金型のことなら、特殊ブロー金型 設計・製作.comにお任せください!

特殊ブロー金型 設計・製作.comを運営する中越製作所では、一般的なブロー成形から3次元ブロー成形の金型の設計・製作に対応しております。

また当社では、10年,20年近く使用している他社で製作した古いブロー金型の修理メンテナンスにも対応しております。さらに修理だけでなく、ブロー金型の改造にも対応しております

最近ご相談が多いのは、既存製品・金型を基にした新規金型製作 -リバースエンジニアリング-です。

図面・資料のご用意がない場合でも、既存品(現行サンプル品)または既存金型を計測して、そのデータをもとに金型を新規で製作します。製品改良による既存金型の改造も承ります。また、お客様から頂いたポンチ絵(イメージ)から、図面データを作成して金型製作をした実績もございます。

さらに当社では、射出成形からブロー成形への工法転換を、金型設計段階からご提案しておりますが、樹脂以外にも木材や金属、ゴム、ガラス、FRP、発泡スチロール等、様々な他材質から樹脂へと材質変換するご提案も行っております。

ブロー成形では成形が難しいとされていた形状の手法変換の事例も多くございます。ブロー成形やブロー金型に関してお困りの方は、お気軽にお声がけください。

>>お問い合わせはこちら

技術コラム一覧に戻る