技術コラム
2023/10/06
ブロー成形
ブロー成形とは?

ブロー成形は、プラスチックやガラスなどの素材を使って、中空の形状を持つ製品を作る成形方法です。プラスチックの成形方法には、射出成形やプレス成形など様々な方法がありますが、ブロー成形の方が強みであるポイントもあります。
今回は、ブロー成形の特徴から、他のプラスチック成形方法と比較した際にブロー成形が選ばれる理由、ブロー成形が使用される主な産業や製品まで、まとめてご紹介いたします。
ブロー成形とは
ブロー成形は、プラスチックやガラスなどの素材を使って中空の形状を持つ製品を作る成形方法です。
このプロセスでは、まず成形機内で素材を加熱して柔らかくし、押し出して筒状のパリソンという状態にします。その後金型の中に配置し金型で挟み込みます。
次に、パリソンの内部に空気を吹き込んで、金型の形状に合わせて膨らませます。この工程により中空になります。

ブロー成形の主な利点は、複雑な形状を持つ製品を比較的簡単に製造できることです。また、生産コストが比較的低く大量生産に向いています。例として、ペットボトルやプラスチック容器などがブロー成形を使って製造されています。
ブロー成形が選ばれる特徴
プラスチック成形には様々な成形方法があります。
例えば、小ロット品や高精度な製品に向いている「射出成形」や、原材料のプラスチックシートやフィルムを金型にセットし、高圧で加圧する「プレス成形」などがあります。
本コラムではその他の成形と比較した際に「ブロー成形」が選ばれる特徴を紹介いたします。
・コスト効率
ブロー成形は、その他成形方法と比較して低コストでの大量生産が可能です。そのため大量生産する製品の場合は、コスト効率が高いため選ばれる事が多いです。
・複雑な形状に対応
ブロー成形は、複雑な形状の製品でも生産が可能です。プラスチックパーツの一体成形が可能なため、製品のモジュール化が容易であり、製品デザインの自由度が高いことが特徴です。
・環境にやさしい
ブロー成形では、再生プラスチックの使用ができます。環境に配慮した製品製造が求められる今日の市場において、環境にやさしい製品を生産するための選択肢としても有用です。
これらの特徴があるため、ブロー成形は、幅広い用途に使用され、プラスチック製品の製造において重要な役割を果たしています。
ブロー成形が使用される主な産業や製品
上記でご紹介させていただきました通り、ブロー成形にはその他の成形方法と比較して、コスト効率等での優位性があるため様々な産業で使用されております。
代表的な使用例をいくつか紹介させていただきます。
- 自動車産業:自動車用の中空部品、エアコンダクト、バンパー、エアバック
- 医療機器:医療用容器、可動式ベッド
- 飲料用容器:ペットボトルやジュースの容器、水筒など
- 家庭用品:おもちゃ、花瓶、ポリタンク、屋外用貯水タンク
- 化粧品容器:化粧品容器、シャンプーボトル、石鹸容器、化粧品パッケージ
- その他:床材、看板、工事用フェンス
次に代表的な製品をご紹介します!
①タンク形状
タンクのブロー成形品とは、プラスチック製のタンクをブロー成形という製造方法で作られた製品を指します。ブロー成形は、熱を加えて柔らかくしたプラスチックを金型内で風船のように膨らませ、所望の形状にする技術です。
特に、空洞および中空の製品を作るのに適しており、飲料ボトルや燃料タンク、そして化学薬品の保存用タンクなど、さまざまな用途で利用されています。

下記記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください!
タンク形状の製品事例をご紹介!

尿素タンクは、ディーゼル車に搭載されるSCR(選択触媒還元)システム用の部品で、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を低減する尿素水を貯蔵するためのタンクです。NOxは人体への影響だけではなく、光化学スモッグ、酸性雨の原因にもなるなど影響力は大きいです。

薬剤散布作業を効率よく行うための背負い型タンクで、使用者の負担を軽減しつつ、耐久性と使い勝手を考慮した設計が施されています。

こちらは、ドローンに搭載する薬剤散布用のタンクで、ブロー成形技術を用いて製造された部品です。このタンクは、高い耐久性を求められる部品となります。成形工程では、ブロー金型を使用し、射出成形で作られたインサート部品4個、さらにフランジナット8個をブロー金型内に配置します。

この自動車用ウォッシャータンクは、インレット部分(入口)からタンク本体に至るまでが一体成形された製品です。ブラケットの穴は全て傾斜の位置にあり、この穴を作るためのピアス部(ピン)が設けられます。このピアスは離型を考慮した形となり、これにより、成形において離型性を考慮した設計が実現されています。

このフューエルタンクは、小型で農業用管理機械(例:草刈り機)に搭載される設計です。タンクの開口部の端面と内径は、後加工で精密に切削されます。
使用用途において、高精度や切り取り部の美観性を求めない限り、ブロー成形による工法を選択すれば、ネジ部を含めたタンク形状は一体で成形することが可能です。

このフューエルタンクは、小型で農業用管理機械(例:草刈り機)に搭載される設計です。タンクの開口部の端面と内径は、後加工で精密に切削されます。
製品の外観から特徴として、ネック部(キャップで蓋をする部分)にネジ山があり、これが上方向に立っている点が挙げられます。この構造は、ブロー成形金型のスライド機構技術を利用することにより成形を可能としています。

本製品は、タンク部とブラケット部においてパーティングライン(分割面)の高低差が大きく、成形時に部分によって冷却効率や製品の形状に大きな影響を与える金型形状となっています。
このような製品は、パリソン(溶融樹脂)が金型製品面に接する度合いにより冷却の均一性が左右され、これが最終的に製品の歪み(よじれ)に繋がる可能性があります。

ブラケットの穴は、成形時にピアス仕様の穴を設計に組み込んでおり、成形後に不要なピアス部(ロス)をトリミングすることで、部品に正確な貫通穴を形成する構造となっています。この工法により、金型の構造をシンプルに保ちながら、成形サイクルへの影響を抑えることができます。
②ダクト形状
ダクトは、空調システムや自動車エンジンのエアフロー管理において重要な役割を果たします。
ブロー成形で作られるプラスチック製のダクトは、複雑な曲線や分岐が必要なダクトを効率的に製造するのに最適です。ステーやブラケット部も、インサート品との組み合わせや、金型設計技術により一体成形が可能です。

ダクト形状の製品事例をご紹介!

3次元ブロー成形技術を用いた製品です。特徴的なのは、開口部をスライド構造で3分割して開閉できる設計です。

ダクト本体とレゾネーターが一体化した設計で、空気の流れを最適化しつつノイズ低減も実現する重要な部品です。一般的な単純形状ではなく、凹凸形状と多様な接続管(連通管)が絡み合った構造です。
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特殊ブロー金型 設計・製作.comを運営する中越製作所は、国内有数の「3次元ブロー金型」の設計・製作を行うメーカーです。
当社の得意とする3次元ブロー成形金型では、金型とパリソンを相対的に移動させることでバリを最小限に抑えることができ、またインサート部品を事前にセットすることができるため部品の一体化を実現することができます。
このような難易度の高いブロー成形金型の設計を数多く行ってきた経験を活かして、現在はダクトやウォッシャータンク、薬剤タンク等のブロー成形金型の設計から製作についても、様々なお客様よりご相談をいただいております。

特殊ブロー金型 設計・製作.comのサービス
当社は以下のサービスを行っております。
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