技術提案事例
製品の割れ防止 「二段食い切り」
Before
ピンチオフ部の内部窪みによる強度不安
金型設計において、従来の食い切り形状では、型締め時にパイプ状のパリソン(溶融樹脂)がPL面(パーティングライン)で押し潰されて融合する際、ピンチオフ部分に特有の線状の窪み(ヒケ)が発生するケースがあります。
・
- 発生現象: パリソン内側の押し潰されたPL部分が、挟まれて絞られた状態から膨らむため、PLに沿って溝のような窪みが残る。
- 懸念点: 製品の外観面には影響しませんが、製品内部の線状の窪みが「応力集中」の起点となり、製品の脆性(脆さ)に悪影響を及ぼす可能性がありました。
- 特に強度や耐久性が求められる機能部品において、この内部欠陥は品質上の大きなリスクとなっていました。
※ピンチオフ:パリソンを金型で挟み込み、密封・溶着し、余肉(フラッシュ)を切り離すための部位。

従来の食い切り形状
After
二段食い切りの採用
この課題に対し、金型設計段階からのアプローチとして、ピンチオフ部を「二段食い切り」構造を採用します。
単純な食い切り形状ではなく、二段構えのピンチオフ形状に設計変更することで、樹脂が押し潰される際の流動と融合状態をコントロールします。
パリソンが絞られる際の「折れ込み」や「極端な薄肉化」を抑制し、肉厚をより均一かつ強固に融合させることが可能になります。
製品品質の安定と信頼性の確保
金型設計でピンチオフ形状を最適化したことにより、以下の効果が得られます。
- 内部ヒケの解消: 製品内部のPLに沿った線状の窪みが解消され、滑らかな内壁面を実現します。
- 脆性の改善: 応力集中の原因となる溝がなくなることで、製品の強度と耐久性が大幅に向上します。
また、ネジ形状の開口部では二段食い切りは多く採用されています。

型締め時のパリソン
手加工による、低コスト/短納期
一般的に、二段食い切り構造の採用は製品仕様を踏まえて設計段階で決定されます。
しかし、樹脂流動解析で問題がなくても、実成形時に予期せぬヒケ(窪み)が発生し、不良品となってしまうケースがあります。
生産ラインの稼働予定が迫っており、大規模な金型改造の時間が確保できない場合、弊社では手加工による二段食い切り構造の追加を提案しています。
製品形状に合わせた薄板の貼り付けや鋼材の埋め込みを、機械を使わず手作業で施工することで、お客様のニーズに合わせた短工期・低コストな対策を実現します。
「設計段階での作り込み」はもちろん、現場での柔軟な対応により、製品品質の早期安定をサポートいたします。

薄板の張り付け
まとめ
ピンチオフの窪み(ヒケ)「二段食い切り」などの金型設計の工夫によって根本から解決します。
成形不良の多くは、設計段階での対策が最も効果的です。
弊社は設計の初期段階から積極的に提案を行い、お客様と共に高品質な製品を作ります。
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