技術提案事例

金型のPL(型割)を利用した複雑形状 -ブラケット・ニップル・ネジ・クリップ-

Before

まずPL(パーティングライン)とは、中空のプラスチック製品を成形する際に、金型を開閉する境界線であり、金型の分割面(合わせ目)のことです。

ダイレクトブロー成形は一般的に、樹脂を金型で挟むので合わせ目にバリが発生します。このバリを除去すると線状の跡になります。

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ブロー成形は、樹脂を風船のように膨らませるイメージがあるため、ペットボトルポリタンクのようなシンプルな製品形状しか成立性がない認識を持たれる方がいます。

当社は、突起形状や機能的部分については、インサート部品を金型に配置してから一体化で成形する技術を紹介しておりますが、ブロー成形の仕組みを有効活用した製品設計を行えば、インサート部品を不要とした形状を成形できます。

そこで、PLを活用した実例を紹介します。

After

金型が閉じる際に、パリソン(溶融樹脂)をギュッとプレスして成形します。

ブロー成形の仕組みを有効活用して金型設計が施されます。

以下に、実際にパーティングを活用してインサート部品を不要とした成形事例を示します。

代表例として、ブラケット・クリップを挙げます。


また樹脂を膨らます内部圧力でネジ・ニップルも成形ができます。PLに設けることで金型はシンプルな構造となります。この場合、金型の分割面にはネジ山がありません。

これは、離型の邪魔をせず、金型の合わせ目に位置するPL部は形状の再現性や寸法精度にばらつきが出ないようにされています。また他に、ネジ山の有無の理由としては、フタの締め具合を考慮されるお客様の意見から製品デザインが決定します。

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スライド機構:ネジ部の離形

金型の分割線上にネジ山がかかっている場合(パーティングまたぎ全周ネジ)は、シリンダーを設置したスライド機構を採用します。

成形の際、金型が開く直前に矢印方向にバック(赤矢印させます。これにより、金型から成形品の離形を妨げません。

もし、バックスライドをしなければ金型が開く際に、成形品のネジ部が金型と干渉して、傷やむしり跡が発生する要因となります。(アンダーカットを防ぐ)

提供:やまびこグループ 双伸工業株式会社

 


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