製品事例
GRカート用カーボンニュートラル燃料タンク金型




種類 | ダイレクトブロー成形 |
業界 | 自動車 |
製品材質 | PE |
金型材質 | S55C |
加工方法 | 5軸マシニングセンタ等 |
製品材質 | 360×236×230 |
特徴技術 | 特殊型割配置、アンダー回避スライド構造、樹脂張り付き対策、最適ガス抜き・水冷配置 |
詳細説明
課題と解決:ブロー専門の知見を活かした複雑形状への対応
今回ご依頼いただいたGRカート用燃料タンクは、複雑な3次元形状に加え、燃料残量メモリの彫刻や各種ネジ部が複数存在し、通常のブロー金型では離型困難な構造でした。特に、ネジ部分を離形方向にアンダーないように配置した結果、他の部分でのアンダーや複雑な型割ライン、パリソン幅(溶融樹脂パイプ)の安定供給が課題となりました。
中越製作所では、ブロー金型製作専門の知見を最大限に活かし、以下の高度な技術的工夫により、複雑形状と安定成形を両立する金型設計・製作を実現しました。
1. 最小限の型サイズと最適型割配置による効率化
- 型割の工夫と喰い切り設定: ネジ部分の離型方向へのアンダー回避を最優先しつつ、その他のアンダー部分をスライド構造で処理する特殊型割配置を採用。また、パリソン幅を考慮した最適な喰い切り設定を行うことで、成形品質を確保しつつ金型の大きさを極力小型化し、コストと生産性の向上に貢献しました。
2. 独自の離型技術:ブロー金型屋ならではのアンダー回避スライド構造
- アンダー回避とネジ駒配置: ネジ駒部分を離型方向にアンダーのないよう配置し、その他のアンダー回避はスライド構造で実現しました。
- 樹脂の張り付き・引っ張り対策: 単にスライドさせるだけでなく、樹脂の張り付き具合や、スライド時の樹脂引っ張りによる製品変形を防ぐため、ブロー金型専門のノウハウに基づいた独自対策をスライド機構に盛り込みました。これにより、製品を傷つけることなく確実かつスムーズに離型する構造を確立しています。
3. 成形品質を高める緻密な熱・ガス管理
- スライド・彫刻を考慮した配置: 複雑なスライド機構や、**燃料残量のメモリ(彫刻)部分での成形不良を回避するため、ガス抜き穴と水冷ライン(冷却回路)**を緻密に配置しました。
- 冷却とガス排出の両立: スライド機構の動作を妨げず、かつ製品の肉厚安定とヒケ防止に直結する最適な水冷配置と、成型時、樹脂と金型の隙間に発生するガスを効果的に排出するためのガス抜き穴の配置を両立させ、高品質な成形品の安定生産を可能にしました。
成果
これらのブロー金型専門技術を盛り込むことで、お客様にはご要望の複雑形状を高い精度で安定的に成形していただける金型を提供し、カーボンニュートラル燃料で走るGRカートという先進的なプロジェクトの実現に貢献しました。中越製作所は、今後も特殊ブロー金型の設計・製作において、専門性の高いソリューションでお客様の課題解決をサポートしてまいります。