技術提案事例
射出成型品の精度とブロー成型品の精度の組み合わせ(タンク成型品のコスト削減)
Before

画像はブロー成型品と射出成型品になります。
この二つを同じ精度で成形品を作ろうとしますと、すべて射出成形品で作らなければならなくなり、金型費用また溶着工程などコストが膨らみます。
今回、提案したい内容は、寸法精度がシビアな部分は射出成形、精度が中程度な部分はブロー成形で対応という内容です。
After

この事例では、中空タンク本体をブロー成形で製作し、機能部品(ネジ口、ノズル、センサーマウントなど)を射出成型で製作。それらを溶着またはインサート成形で一体化することで、精度と機能性を両立しています。
📦 成形方法の役割分担
成形法 | 使用部品 | 特徴と役割 |
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ブロー成形 | タンク本体 | ・軽量で中空構造 ・大容量・複雑形状に対応 ・寸法精度は中程度 |
射出成型 | ネジキャップ、フィッティング口、センサー取付部など | ・高精度のネジや嵌合部 ・小型・複雑形状に適す ・繰り返し精度が高い |
活用例(用途)
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液体用中空タンク(農業・工業用)
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医療用バッグや検査機器容器
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センサー付き薬液供給容器
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燃料タンクやクーラントタンク(自動車)
まとめ
■ まとめ:ブロー成形タンクと射出成型部品のハイブリッド構造提案
本提案では、ブロー成形による中空タンク本体と、射出成型による高精度部品を組み合わせることで、機能性・生産性・設計自由度の最適化を図ったハイブリッド製品構造を紹介しました。
✅ ブロー成形の利点
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軽量かつ中空構造により大容量でも成形可能
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自由な外形設計が可能で、強度と耐薬品性に優れる
✅ 射出成型の利点
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ネジ、嵌合部、センサーマウントなど高精度・高機能部品の成形が可能
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異形状・小部品の量産に適しており、再現性も高い
✅ 組み合わせによるメリット
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精度を必要とする部分を射出成型で補完することで、全体製品の信頼性が向上
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ブロー成形では難しい機能形状を射出成型品として組み合わせることで設計自由度が向上
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接合方式(溶着加工・インサート成形)により、工程の柔軟性と量産性を両立
このような成形法の特長を活かした部品分担設計により、従来の一体成形では難しかった構造や精度要求に応える製品開発が可能となりコストも削減できます。
提供 : 三宝株式会社(製品画像)