技術コラム
2024/10/30
ブロー成形
【今すぐできる】プロが教えるブロー金型の離型しやすくなる2つの工夫
離型とは
金型を使用し、成形された製品を金型から取り出すことを離型といいます。
この離型をしやすくする工夫を金型メーカーと成形メーカーはしています。
成形時に品物が抜きづらいと、成形作業の作業効率が悪くなりますし、
無理にグイグイ品物を取ろうとすると品物に傷がついてしまうリスクも出てきますからね。
その場合成形会社では離型剤を使用します。
成形品が金型にくっつかないようにするために、離型剤を金型の表面に塗布することで成形品がスムーズに取り出せるようします。
離型剤もその名の通り離型をしやすくする方法の一つです。
離型に対して金型メーカーはなにができるのか?
では金型メーカーは離型に対してなにができるのでしょうか?
金型メーカーは、設計や構造により離型をしやすくする工夫をします。
その例を紹介します。
抜け勾配
下の画像のような壁を挟んだ形状がある製品の場合、
樹脂の締め付けなどで離型しづらくなってしまいます。
こちらの形状を抜け勾配をつけると、このように離型しやすくなります。
画像は分かりやすく極端な角度になっていますが
実際は金型の設計段階で、製品形状にあらかじめ”1度程度の勾配”を付けてあげます。
これが抜け勾配です。
成形品は金型の形状面から垂直に離形します。勾配をつければ成形品と金型との摩擦面は減少し、
成形品が取り出しやすくなります。
他に、離形不良が起きる場合は、エジェクターピン等(押出ピン)を設けて、合わせて利用されます。
【関連記事】 用語集 >>エジェクターピン
アンダーカット形状の取り除き
こちらは、離型とコストダウンの面からの弊社からの提案事例になります。
仕様にもよりますが、金型の設計において要求される製品デザインを成立するには、
成形品の離形を邪魔してしまうアンダーカット形状部に対策が必要となり、一般的に特定部をスライド構造にする必要があります。
しかし、シリンダー等の部品点数は増えてしまい、構造は複雑化して製造工期も長くなります。
また、成形機やコストの制約により、スライド構造が困難な場合もあります。
参照図を例として、こちらの提示された製品デザインでは形状通りの金型を製作すると、
製造コストが高額になってしまうという問題がありました。
そこで、コスト低減に努めた形状修正をご提案しました。
画像の赤色部分の形状を修正することで、アンダーカットが発生しないようにします。
この作業により、アンダーカット部のスライド機構が無くなり、製造コストが大幅にダウンしますし、離型もしやすくなります。
また、金型もシンプル構造となり、長期に向けたメンテナンスや修繕の容易性も高くなります。
修正した形状は、要求仕様を達成しており、製品の性能に影響を与えません。
結果、形状修正は承認され量産用金型の製作となりました。
【関連記事】 技術提案事例 >>アンダーカットの取り除き(形状修正)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
金型メーカーも成型メーカーもいろいろな方法で作業効率を上げる工夫をしています。
ブロー成形金型で質問事項あれば是非、お気軽にお問い合わせください。
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ブロー成形では成形が難しいとされていた形状の手法変換の事例も多くございますので、お気軽にお声がけください。